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2023年3月20日

【DTM】リバーブの基本3(デジタルリバーブについて)

dtm-reverb03

みなさんこんにちは。
作曲家、音楽講師の植松ヨシヒロです。

このブログはDTMや作曲、その他音楽関連情報を中心に発信しております。

以前書いたリバーブの基本1の中でデジタルリバーブについて少し触れましたが、
今現在のプラグインやマルチエフェクター等に搭載されているリバーブがこのタイプです。
今回はデジタルリバーブについてさらに説明します。

ホールやルームといったリバーブタイプや、リバーブのかけ方、リバーブをかける際の注意点についてまとめてみました。
今後リバーブを使用する際の参考になればと思います。

リバーブとは?

リバーブ(Reverb)とは、音に残響音を加えるエフェクトの一種で、空間を感じるような奥行き感や広がり感を与えることができることから「空間系エフェクト」のひとつでもあります。

リバーブの基本1については下記よりご覧ください。
リバーブの種類について

リバーブの基本2については下記よりご覧ください。
残響について

リバーブタイプ(Reverb Type)について

リバーブタイプ(Reverb Type)は、切り替えることで質感を変えることができます。
今回は以下のリバーブタイプについて紹介します。
(リバーブによってはこの中に含まれないものもあるかと思います)

・ルーム(Room)
・ホール(Hall)
・プレート(Plate)
・スプリング(Spring)

ルーム(Room)

ルームは比較的小さめの空間の残響音で、自宅の1室だったりリハスタやレコーディングスタジオのブースくらいの広さかと思います。
リバーブによってはさらにSmall、Medium、Largeとプリセットが用意されているものもあります。

ホール(Hall)

ホールは比較的大きめの空間の残響音で、ライブハウスやコンサートホールといったキャパ数百〜数千以上の広さかと思います。
リバーブによってはさらにSmall、Medium、Largeとプリセットが用意されているものもあります。
またリバーブによってはホールよりさらに大きな空間の「チャーチ(Church)」、逆に少し小さい空間の「ステージ(Stage)」というタイプが用意されているものもあります。

プレート(Plate)

プレートはプレートリバーブの質感を模した残響音で、残響音の密度が濃く上品な質感もあり、定番の使い方としてはボーカルに使用したりします。

スプリング(Spring)

スプリングはスプリングリバーブの質感を模した残響音で、独特の金属的な響きを感じます。ジャンルによりますがエレキギターやオルガンの音作りの一環で使用したりします。

デジタルリバーブのパラメータについて

デジタルリバーブに設けられたパラメータはそのエフェクトによって有無や種類が異なりますが、
ほとんどのタイプに設けられていると思うものについて一部紹介します。

プリディレイ(Pre Delay)

プリディレイは直接音(原音)からアーリーリフレクション(初期反射音)が聞こえるまでの時間を設定します。
この設定時間を長くすることでより広い空間を再現したり、ミックスの際に原音の輪郭(ニュアンス)を残して他の音に埋もれないようにする・・などで使うこともあります。

アーリーリフレクション(Early Reflection)

「アーリーリフレクションレベル」または「ER」と表記の場合もあります。
アーリーリフレクションは初期反射音ということを前回までに紹介しましたが、アーリーリフレクションの音量を調整することで音の距離感を演出できます。数値が高めだとダブリング感が増したようにも聞こえます。

Dry/Wetレベル

Dryが原音、Wetがリバーブをかけた音です。
それぞれどのくらいの量に設定するかでリバーブの量を調整します。
Dry/Wetではなく「MIX」という表記の場合もあります。
また、調整するための形状はリバーブによって異なります。

・スライダーが1個のタイプ:どちらか一方に振るとDry100%でWet0%、もう一方に振るとDry0%でWet100%、中央だとDryとWet50%ずつ
・スライダーがDryとWetそれぞれ独立しているタイプ
・スライダーではなくツマミで調整

ディフュージョン(Diffusion)

ディフュージョンは、後期残響音の密度(残響音の拡散の度合い)を調整します。リバーブによってはShapeという名前の場合もあります。
数値を上げるほど残響の拡散が強くなり、高音域の周波数が目立つこともあります。
残響音の性質が変わるということで、いわゆる壁の材質を変えることができる・・とも言えます。

・数値を上げることで音が固くなる→壁が硬め?
・数値が低いことで音が柔らかくなる→壁が柔かめ?

サイズ(Size)

サイズは、空間の大きさを設定します。ルームサイズ(Room Size)やデプス(Depth)と表記の場合もあります。

リバーブタイム(Reverb Time)

リバーブタイムは、後期残響音が減衰する時間を設定します。「タイム」や「ディケイ(Decay)」と表記の場合もあります。

フィルターまたはEQ

リバーブ音に対し低域または高域を調整します。
アーリーリフレクションと残響音それぞれ独立して設定できるもの、または両方設定可能なものもあります。
フィルターはLowCutだと低域をカット、HiCutだと高域をカットできます。
EQは周波数の設定値の帯域に対し増減が可能です。
このフィルターとEQを駆使して原音とのバランスや分離感を調整します。

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リバーブはどんなときに使う?

リバーブを使う目的として、以下のようなことが考えられます。

・他のパートの音と馴染ませる(距離感、奥行きまたは広がり)
・空間を演出する(空間が広さや大きさ)
・楽器の音色作りの一環として

他のパートの音と馴染ませる(距離感、奥行きまたは広がり)

音にリバーブをかけることで他のパートとの馴染みが良くなる場合があります。
リバーブの量や設定によりますが、音のアタック感や余韻など輪郭が滲むことでミックスの中でその音が近いのか遠いのかといった距離感や、左右の音の広がり感においても印象が変わります。
同時に、音と音が馴染みやすくなります。
ミックスにおいては必要に応じてボリューム(音量)とパン(定位)を設定しますが、各パートのリバーブの量を調整してあげることでより効果的にミックス処理することができます。

空間を演出する

リバーブを細かく設定していくことでその楽曲の世界観や空間を演出できます。
その音楽が大きなホールで演奏されているのか、それとも小さな部屋で演奏されているのかといった空間の広さや形状といったことも設定可能です。
リバーブの種類やEQ、プリディレイの長さやリバーブタイムなどはほとんどのリバーブで設定可能かと思います。

楽器の音色作りの一環として

上記2つとはまた別に、音色作りの一環としてリバーブを使用することがあります。
音にリッチな質感を与えたり、ある楽器で特定の音楽ジャンルを表現するうえで必要な音処理をする・・という場合もあります。

(例)
・ボーカルにプレートリバーブをかける
・ギターアンプに内蔵されたスプリングリバーブを使ってみる
・ドラムにリバーブをかけつつその音にゲートエフェクトをかけて余韻をカットして80’s風の派手なドラム音

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DAWソフトでのリバーブの使い方

トラックにエフェクトをかける方法として、インサートかセンドがあります。

インサートでかける場合

トラックのインサートエフェクトのスロットは上から直列となるので、
リバーブなどの空間系はコンプレッサーやEQなど下処理を施した後に挿すのがよいです。
リバーブを先(インサートスロットの上段)に挿してしまうと、リバーブがかかった音に対してコンプをかけることとなってしまいます。
意図してあえてそうする場合を除き、ベーシックな使い方としてならリバーブはスロットの下段をお勧めします。
また、インサートでリバーブを使用する際、リバーブの量はMIX(DRY/WET)で調節します。

センドでかける場合

リバーブを使う方法としてはインサートよりもセンド(&リターン)で使うのが元々は一般的でした。
理由として、
・1台のリバーブを他の全トラックと共有できる
・それによってCPUパワーを節約できる(リバーブはプラグインの中でCPU負荷が比較的重めだった)
・同じリバーブを使うことで音と音の空気感に統一感が生まれる
といったことが考えられます。
センドでリバーブを使用する際、リバーブ自体のMIX(DRY/WET)はWETのみ使用(100%)し、各トラックからリバーブへのセンドレベルの量で調節します。

リバーブ使用時の注意点

リバーブ使用時の注意点として以下のようなことが考えられます。

・リバーブのかけすぎに注意
・低音の楽器(バスドラムやベース)には特に注意

リバーブのかけすぎに注意

リバーブの量が多いほど原音の輪郭がぼやけてきます。必要に応じてプリディレイ(原音からアーリーリフレクションが鳴るまでの間隔)を後ろにずらして原音の輪郭やアタック感をある程度残したりもできますが、それでも音が埋もれがちになります。
極端な例として「浴室でお風呂に入りながら歌ったり話したりしたときみたいに響く声」のようなあの感じになってしまいます。

低音の楽器(バスドラムやベース)には特に注意

バスドラムやベースなど低音の楽器にはほとんどかけないほうがミックス的にうまくいったりします。
バンドサウンドでの空気感だったりある特定の年代の再現には不可欠なこともあり、音楽ジャンルやスタイル等にもよるのでこれは絶対ではありませんが、低音の楽器にはリバーブ音無しでドライかつタイトに仕上げたほうが音が締ります。
低音に限った話では無いですが、リバーブ音にEQやフィルターで低域をカットすると原音のもつ低域と被らずスッキリしたリバーブを作れたりします。

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あとがき

今回はデジタルリバーブについて説明しました。

リバーブは様々なタイプがあるのでまだ触れていないものも数多くありますが、なるべく基本的な部分を中心に紹介してみました。
特定のリバーブプラグインの紹介や使い方など、今後また改めて記事に追記したり、新たな記事を書ければと思います。

リバーブの基本1
リバーブの種類について

リバーブの基本2
残響について

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