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2023年3月15日

【DTM】イコライザーの基本について

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みなさんこんにちは。
作曲家、音楽講師の植松ヨシヒロです。

このブログはDTMや作曲、その他音楽関連情報を中心に発信しております。

今回はDTMにおけるイコライザーの基本について説明します。

イコライザーとは?

イコライザーは、音の周波数特性を必要に応じて変更するためのエフェクトの一種です。
略してEQと呼ばれます。

イコライザーの主な使用例

イコライザー(EQ)の主な使用例としては
・楽器や声問わず録音物やミキシングなど含む音全般において、その音が持つある特定の周波数成分の音質を補正して不要な成分を改善し、聴きやすくする
・楽曲制作やパフォーマンス、録音物における積極的な音作りの一環で大胆に加工する
といったものが考えられます。

音楽全般においてイコライザーは必要不可欠ですが、実は生活の中にもイコライザーは身近にあるものだったりします。

外出時に持ち運ぶポータブルオーディオ機器やカーオーディオ機器、ラジカセやコンポなどの一般的なリスニング機器にもイコライザー機能を備えたものがあり、リスニング時の低音や高音を強調したり音質を補正することができるのはイコライザーのおかげです。

イコライザーの基本パラメータについて

イコライザーのパラメータはEQの種類にもよりますが、基本的なものを説明します。

横軸の目盛りが周波数の数値で、左にいくほど低い周波数(低域)、右にいくほど高い周波数(高域)です。
縦軸はその周波数帯域に対してゲインの増減となり、中央の0dBは増減がない状態、その0dBを境として上方向が増幅、下方向が減衰となります。

ちなみにゲインを増減した際の周波数帯域はその目盛りの周波数のみではなく、その周辺の帯域も影響を受けます。
その影響を受ける範囲を表したり影響の幅を設定したりするのが「Q」です。

ゲインを増減できる周波数帯域の数を「バンド」といい、その数や種類はイコライザーによって異なります。

各バンドのゲイン値を増減した際に周波数帯域の範囲はどのくらいか、またそれぞれどのような形でどのような変化を生じるか、様々なEQカーブ(フィルター)があります。

・Peak
・Low Shelf
・High Shelf
・Cut(LowPass FilterまたはHighPass Filter)
などといったものがあります。

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イコライザーの種類 その1

イコライザーの種類として、まず以下の2種類にわかれます。

・グラフィックイコライザー
・パラメトリックイコライザー

グラフィックイコライザー

グラフィックイコライザーはグラフィックEQ、グライコとも呼ばれます。
上下に動かせる各スライダーの周波数とQ幅は固定で、それぞれの帯域に対するゲインを調整することでイコライジングします。
バンド数は10バンドや30バンドといったものがあり、基本的にバンド数が多いです。
各スライダーの目盛りの位置でEQセッティングが物理的にわかりやすく判別できるので、エレキギターやベース用のコンパクトエフェクターとしてグラフィックEQが数多く存在します。またライブハウスやコンサート会場のPAシステム等にもラックサイズのグラフィックEQを見たことがある人も多いかと思います。

パラメトリックイコライザー

パラメトリックイコライザーはパラメトリックEQ、パライコとも呼ばれます。
現在DAWソフトの各チャンネル設定やプラグインで多いのは、こちらのタイプです。

イコライザーにもよりますが各バンドの周波数を可変できるほか、EQのカーブと種類を変えることができます。
とても自由度の高いイコライジングが可能です。
グラフィックEQと比べるとバンド数が少ないように思いますが、各バンドを細かく調整できるので全く問題ないどころか自由度の高さはパラメトリックEQのほうが上です。
それゆえイコライジング次第で音質が良くも悪くも激変するので、とても難しいとも言えます。

イコライザーの種類 その2

さらにパラメトリックEQに関連して以下の2種についても説明します。

・リニアフェイズイコライザー
・ダイナミックイコライザー

リニアフェイズEQ

パラメトリックEQはとても自由度が高く便利なイコライザーですが、
EQで増減するバンド数や範囲などが多いほど音の「位相ズレ」が大きくなり音に歪みが生じたり、ミックスの中で音が重なった際に意図せず音が小さくなったり引っ込んでしまう、といったことが発生することがあります。
(※そもそもイコライザーでEQ処理を行うことで大なり小なり位相に変化が生じるかと思います)

リニアフェイズEQは、そういった位相ズレのないクリーンなイコライジングを行なうことができます。
どちらかといえば各トラックのEQよりもバストラックやマスタートラックのEQ補正を行なう際に使用するのがよいかと思います。

もし欠点を挙げるなら
・通常のEQよりもPCのCPU負荷が増えるので処理が重くなる(レイテンシーが増す)ことがある
・イコライジング次第で位相ズレとはまた別の悪影響が及ぶ(音像ぼやける、音色のアタック感が崩れる等)ことがある

などが考えられます。

ダイナミックEQ

ぱっと見はパラメトリックEQですが、各バンドにコンプレッサーのような音の強弱(ダイナミクス)に関するパラメータを備えています。
例えばスレッショルドはコンプと同様、その設定値以上の大きさの音に対して動作するためのものです。
通常のEQは、設定した周波数の値に対して音の大きさに関係なくEQがかかりますが、ダイナミックEQはスレッショルドの設定値より小さい音にはEQがかかりません。
スレッショルド値以上の音に対し音の大きさに応じてEQのかかり具合が変わります。
さらにレシオやアタックタイムなどを設定可能なものもあり、より自然で細かい調整が可能です。

周波数帯域別にダイナミクスを調整できる意味ではマルチバンドコンプと同じですが、ダイナミックEQは各バンドのQ幅やEQカーブなどによってかかり具合が変わるので、よりピンポイントに細かく処理を行なうことができます。

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イコライザーはどんなときに使う?

イコライザーの使用機会については以下のような場合が考えられます。

・楽曲のイメージに合わせて音色の音作り
・レコーディング時、録音するための下処理
・ミックスで複数の音が重なる際、それぞれの音を生かすため各トラックまたはマスタートラックで補正のため使用
・マスタリング時の最終的な補正

イコライザー使用時の注意点

EQを使用することで、設定した周波数帯域の音をより強調させたり減らしたりできるのでシンプルかつ手軽に変化させることができますが、
ゲインやQ幅が極端だったり過度なEQセッティングは音質とそのバランスに悪影響を及ぼします。

「ベースで音に低音が弱いからロー(低域)を上げる」、「ボーカルの音抜けを良くしたいからハイ(高域)を上げる」、逆に「キンキンうるさいからハイを下げる」といった場合にEQ処理を行なうことは多々ありますが、そのさじ加減だったり、そもそも別の部分で原因があったり・・
EQを積極的な音作りなのか、補正なのか、どのような目的でどう使用するかによりますが、使い方を誤ると逆に使わないほうがよかった・・ということもあります。
ミックスのマスタートラックで何度もEQの試行錯誤を繰り返しても決まらないならトラック毎の音作りや調整からやり直したほうが早いこともありますし、場合によっては録音からやり直したほうがよいこともあります。
ですので、EQは便利ですが頼りすぎないことも大切、かもしれません。

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あとがき

今回はイコライザーの基本について説明しました。
EQは各トラックのチャンネル設定またはプラグインとしてDAWソフトに何かしら標準搭載されていますし、外部プラグインも有料無料問わず様々なタイプと個性があります。
まずはDAW標準のEQから使い始めつつ、徐々に慣れてきたら他のEQもぜひ使ってみてください。

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